サンダル紀行

オタクがサンダルで家を出た結果。有象無象の記事をぼちぼち書いていく(2019/10/14-)

平JGC( JAL GLOBAL CLUB )のサービス内容への感想

JGC( JAL GLOBAL CLUB )に入会して半年が経ったので、国内線利用時のサービスへの感想などを書いていく。

昨年3月のオーストラリア渡航で、FOP*1の特別調整があった*2。それが結構なボーナスに化けたことでステータス取得への足掛かりとなった*3

 

もくじ

 

結論

ラウンジホッピングや謎に包まれたゲートに吸い込まれていく乗客に魅力に感じて上級会員を目指す人は多いと思われる。しかしながら、自分がステータスホルダーになり、多くのブロガーが喧伝するような''何か素晴らしそうなもの''から、実態をもった”それ以上でもそれ以下でもないサービス"になったことで、むしろ非JGC時代の方が、JGCに対するワクワク感があったことを自覚するようになった。とても悲しいことである。

とはいえ、この感染症下でステータスホルダーになってから、国内線しか利用したことがないので、国際線を利用すればまた違う感想を得られるかも分からないし、ステータスホルダーになってみて、会員サービスには

  • 「空港で長時間過ごすことを推奨する側面」
  • 「空港で過ごす時間を短縮する側面」

の2面性があることに気づいたのは、それまでのどの文献にも言及のなかった新鮮な気づきであった*4*5

JGCの活かし方は人それぞれであるが、あくまで本稿では上述の2面性のうち、後者をベースにして「自分のJALの利用状況に即しているか」、具体的には「最速搭乗・最速降機を達成するのに寄与しているか」を検討することを目的としている。また、本稿で取り扱うのはサファイア以下のサービスについてなので、「DP*6は違う」みたいな異論は受け付けていない。

ひとまず国内線利用時に良かったこと・悪かったことを箇条書きしていく。冗長だと感じたならばここまで読み飛ばせる。

 

国内線サクララウンジについて

JALが持っているサクララウンジ、これは結構な曲者で、地方空港にはそもそも設置されていないことがある。入会前は「大体の空港にあるな」くらいに思っていたが、入会後「意外と無いな」と思うくらい少ない。先日は長崎・高松・山形でサクララウンジの設置がなく、カードラウンジを利用した。

サファイア*7到達以前にクリスタル*8を達成すると羽田のサクララウンジクーポンが5回分付与されるが、羽田を想像して地方空港を行脚すると残念感が否めない*9

さらには最近は年会費無料のゴールドカード*10が増えて、カードラウンジへのアクセスが容易になっているので、どうしても「カードラウンジではこれくらいのサービスがある、対してサクララウンジは」という比較が発生する。その結果「カードラウンジで良くね?」となってしまうのが一番残念なパターンである。もっと残念なのは「この空港、カードラウンジしかないんだが」。

カードラウンジになくてサクララウンジにあるものといえば、

  • 眺望
  • 酒類・菓子類の設置
  • いい香りがする

くらいであるが、そもそも眺望のないサクララウンジも存在するし*11、アルコール趣味がなければアルコールも必要でないし、菓子はしょぼすぎるので、これといったアドバンテージは実のところ無い。

それ以外に発生しうる or 発生した具体的なデメリットを挙げると、

  • 部屋が狭い
  • したがって混んでいる

これらは致命的である。快適な旅をサポートするための施設がストレスフルなのは本末転倒である。落ち着かないのでラウンジを出て搭乗ゲート前でゆっくりしていることも多いし、カードラウンジの方が空いていることも少なくない。

 

逆にこれまでで優れていると感じたサービスは、

である。早朝搭乗時には、

  • 昨晩に風呂に入らず寝て、翌朝保安検査を済ませた後の待ち時間でシャワーを浴びる

という合理的な時間の使い方ができる。

また、保安検査場締め切りギリギリに保安検査を済ませても、搭乗までのわずかな時間でもラウンジに滞在できるような位置に設置されていることで、

  • 事前にペットボトルや缶で飲み物を買う手間を省くことができる

のも大きなメリットである。例えば羽田空港内保安エリアには自販機が設置されていたりするが、ステータス取得後は一切利用しておらず小銭の節約に一躍買っている*12

上述のように整理してみると、ラウンジの本来の設置趣旨である「ゆっくり寛ぐこと=時間を長く過ごす人向け」は達成できているかすら怪しい上に、カードラウンジでも概ね代替可能であることが分かる。

 

国内線の手荷物の優待とプライオリティタグについて

つまりは、

  • カウンターには寄らない、荷物は預けない

のが最速搭乗・最速降機を達成する(効率を追求した際の)最適解である。時間に余裕があり、空港内を重い荷物を抱えて移動したくない場合はこの限りではないし、そもそも大きな荷物を持っていかざるを得ない長期旅行やビジネス需要、あるいは国際線では十分な威力を発揮することが予想できる。

しかしそのような場合であっても、受託をできる限り避け、機内持ち込みを行うことがより合理的な選択肢である*13

JALの国内線においてはほぼ事前にQRコードを入手できるので、チェックイン手続き等を行わずに直接保安検査場に向かうことができる。例えば羽田であれば、エスカレータを登り切った先が保安検査場の目の前になるので、そこからわざわざカウンターまで往復する5分~10分(繁忙期であればさらにかかる)のことを考えれば、このメリットを活かさない手はない。

 

国内線の前方座席指定について

個人的にはこの権利が最も重要であると考えている。クラスJのすぐ後ろを指定できるのは大きなアドバンテージである。club-Aカードの年会費を鑑みるに、クラスJをおよそ7~8回*14指定することに値する*15と思われる。

いわゆるブロックも解除されるのは大変ありがたいことであるが、サファイアであってもブロックされていて予約できない座席が存在する(773の15列目、クラスJ後最前列など)ので、自由度はそれほど高くない印象を受ける。窓側指定ができないのは地味にヘコむが、窓側よりも通路に面した座席で事前に選択できる自由度が高いのは「最速降機」を達成するうえでとてもアドバンテージがあり、優れている。

 

優先搭乗について

受託しないために発生した機内持ち込み手荷物のための荷物棚を確保できる点でメリットがある。

しかし自分は空港WIFIを最後まで利用していたい人間なので、「ファイナルコールで確実に呼んでもらえる権利」や「列が完全になくなってから呼び出してもらえる権利」の方が個人的には嬉しい*16し、ステータスを取る前後でその傾向は変わらず結局最後尾で搭乗する機会の方が多い。LCCのようにすし詰めのビジネスモデルではないから、大抵の場合は荷物棚も至近で確保できるので、それで困ったことはない。

まあそもそものサービス趣旨としてお客様に機内でゆっくりお寛ぎ頂くというのがあるから、そういうニーズは想定されるわけがないんだけれども、早く搭乗しても手持無沙汰であるというのが実情ではないだろうか。

巷では「これみよがしに優先搭乗することで平民への見せしめ的マウンティングになり、自己承認欲求を満たすことができる」というのもメリットとして挙げられているが、大変無粋である。

 

ゲート通過時の効果音変化について

オタク以外は気づかない*17

 

国内線JGCカウンターや専用レーンについて

待ち時間フリーは自明なアドバンテージとして、上述の理由により国内線にて手荷物を預ける機会は原則として発生しないので、カウンターを利用する機会はないので享受する機会がないのが惜しいところ。カウンターを利用と前方座席指定は二律背反のサービスである。

というのはあまりにも乱暴なので追記しておくと、繁忙期・繁忙時間帯・主要幹線において一般保安検査場が混雑している場合は専用レーンの存在は大きいと思われる。これらの状況に遭遇したことは今のところないが、今後威力を発揮したシーンがあれば記事を書きたい。

 

優先空席待ち・優先キャンセル待ち

日航空券を購入するような富豪でもなければクラスJに乗らないと死んでしまう人でもなく、国内線は普通席で十分なので利用する機会はおそらく無い。が、有事に備えて横入りできる権利があるのは助かることである。

 

手荷物許容量増加

23㎏2個とか持てない。

 

ボーナスマイルについて

飛行機に乗る人のためのサービスであることを改めて思い知らされる*18

マイルを期待してFSCを利用するのは本末転倒で、コスパを考えるならまずLCCスカイマークやAirDoなどの第三勢力を利用するのが賢明である。何度も言うように、FSCを利用するのは不測の事態への備えのためであるから、それを自分で織り込むことができるならばFSCを利用する必要は全くない。また修行を行った際のマイルで幾らか修行費用が還元されるので、修行費用が実質○○円という表現をしているブログも多々あるが、学生会員ですら良くて半額を取り戻せるかどうかだから、況や社会人をや、といった感がある。

 

JGC専用回線」が個人的に一番重要視するメリットである理由

これだけ付帯するサービスはあるものの、すべてのフライトですべてのサービスを享受できるわけではないし、そもそもの制度設計上同時に受けられないサービスもあるわけで、コスパの話をし出すと負け確である。上述以外のサービス(AGORA配布、カレンダー等々)を含めて考えても尚余りある。

それでも自分がJGC修行に踏み切った大きな理由があって、その事情は以下に詳しい。

この記事の要点は、振替の免責事由に該当する天候不順による欠航で、隣のカウンターや電話デスクで代替便を手配してもらえている人がいる一方で自分は明らかに後回しにされているという実体験があったということと、一般会員デスクは回線混雑で1時間以上も繋がらず大変な電話代を持っていかれたということへの反省である。

 

結局何が言いたいかというと、航空業界は極めて資本主義的な世界で、語弊を恐れずに言うならば「金を払っている奴が偉い」 ので、eチケットの貴賤によって明らかな対応の差があるということである。今でこそ、庶民でも空の旅が容易く手の届く範囲にあるが、かつての空の旅が富裕層のものであったということの名残ではないかと思っていて、「上級」会員、「Priority」という言葉からもそこに明確な階級意識が存在することが推察される。安い航空券の販売根拠だってイールドマネジメントに基づいているわけだし、悪く言えば庶民はパンの耳を食わされているわけであり、エアラインの主な収入源はY*19ではなくF*20・C*21であるという事実からも其れが伺える。そもそもFSCにおいて、Yの民に人権があるなどと思い上がってはいけない。人権が与えられるのはC以上からである。その点、全席YのLCC共産主義的で極めて平等である。

ただ良心的なことに、これを解決するための手段として、庶民にも上級会員制度が解放されており、「金を積むことによって」特別扱いもとい最低限の人権が付与されるようになる。そしてその維持も庶民が背伸びをすればなんとかなるくらいには良心的な設定である。

 

そのような訳で、JGCのサービスで最も重要であると個人的に思うのはラウンジでも専用レーンでもなく、「専用の直通電話デスク」である。これを挙げている記事はなかなか当たることができなかったので、案外浸透していないのかもしれない。一般デスクを利用した人なら分かると思うが、一般デスクは基本的に長時間待たされる上に融通も利かない一方で、この専用デスク、リードタイムなしで繋がってくれるし、当方の不注意でJAL公式アプリから特典航空券を予約し、減額マイルの適用されていない引き落しでオンオン泣いていたところ、デスクに電話して無手数料で取り消してもらったり、カンタス航空の海外発着便の感染症特別対応下での返金手続きの詳細や、感染症特別ダイヤでの減便での乗り継ぎの要望などの複雑な事情も素早く汲み取り、想定外にすんなり受け入れてもらえたりして大変助かっている。「専用デスクならすぐになんとかしてくれる、"分かってる"」という安心感、すなわち「超法規的な対応の可能性とその実現力」が真のJGCの意味なのではないかと思っている。言わずもがな、はなからそれを期待するのは間違っている。

超法規的というと、「例外中の例外」みたいな雰囲気を醸し出しているが、例えば天候不順の際の各航空会社の対応を見ていると、旅程保証の免責事由に該当するものであっても食事券を配布したり新幹線代を現金で支給したりしているというのも法規外の措置であるし、エキストラの機内食がお代わり出来たりするのも割と知れた運用である*22。他にもチェックイン時間締め切り後でも止むを得ない理由によっては搭乗手続きを認めることがあったり(自験例)、事例によって対応が異なる様子を見ていると結構好い加減で、何でも有りな航空業界というイメージが先行しているので、上級会員の実態として新たに驚きをもって迎えたエピソードはあまりないように思う。むしろ「金払ってんだからそれくらいしてもらわんと」という傲慢ささえ芽生えそうで恐ろしいものである。

 

おわり

*1:フライオンポイント

*2:くだんの感染症により搭乗機会を失ったステータスホルダーがステータスを維持しやすいようにとの配慮が2月~7月搭乗分で実施された

*3:詳述しない。理由は当時の情勢、ニュース等を参照すれば察せられることかと思われる

*4:そもそもネガキャンの方が珍しい

*5:だからJGCに入会して良かった

*6:ダイアモンド・プレミアム

*7:50000FOP

*8:30000FOP

*9:羽田のラウンジが進みすぎている、ともいう

*10:エポスゴールド、イオンゴールド等

*11:那覇とか

*12:むしろその分が会員費に計上されていると考えるのが筋である

*13:手荷物受託カウンターまでのアクセスと、Priority tagのついた手荷物が返却するのを待つリードタイムを必ず短縮できるので

*14:国内線4往復程度

*15:年会費11000円から継続マイル2000およびカレンダー・ダイアリーのeJALポイントを引いた残り円をクラスJ1000円で除したもの

*16:傲慢

*17:こういったサービスで宅をおちょくるエアラインのセンスには脱帽である

*18:沖縄4往復、現地滞在費用等々トータルで84000円程度で解脱したが、興味本位で取得するにはあまりにも高額である

*19:Economy Class

*20:First Class

*21:Business Class

*22:本邦FSCではそのサービスは無い模様