サンダル紀行

オタクがサンダルで家を出た結果。有象無象の記事をぼちぼち書いていく(2019/10/14-)

人生2度目の就活をした

 

もくじ

まえがき

年の今頃、愈々プレ社会人として本格的に進路選択を迫られる中で、就活をすることを本格的に決めた。実質的には2回目である。

 

初期研修の"自由化"によって、依然として大学就職がキャリア形成のメインストリート*1ではあるものの市中就職が可能になった。これによって人生の自由度が増したのはもうはるか前のことではあるようだが、それは直接的に労働から解放されたり、意思決定を行う作業から解放されたということではなかった。選択が自由化されただけで、本質的な自由を手に入れたわけでは当然ない。

 

しかしこれは当たり前に見えて実は結構大きな問題だったりする。むしろ選択肢が増えたことで、自ら下した選択が正しかったのかどうか吟味する"心理的な面倒さ"や、こうやってブログを書いて言語化しながら過程そのものを吟味する手間が増加し、結果として「選択しない方が面倒でなかった」という結論にも至る可能性を孕んでいる*2。自由でなかった時代のほうが実は自由説がある。しかも変えられない過去を振り返ることは大抵無意味である。

 

上述のごとく労働からの解放を声高に叫びながらなお労働に勤しみ、選択をやめず、ブログでつらつらと自己開示しがちなのは、ひとの人生が一番おもろいコンテンツであり、選択することそのものが人生だと思っているからにほかならない。選択することは面白くて楽しい。ある意味、選択したいから労働しているという側面もあるのかもしれない。しかし20台後半に突入しても本当にそうなのかは自分でもイマイチよく分かっていない。自己開示することで一定の反響があることは確かで、それ自体が今後の自分の選択におけるあるファクターとして機能する可能性があり*3、それも選択の面白さに拍車をかけている可能性がある。選択の自由が公に可能になって良かった反面、悪い反面、とにかく他人の芝は青い。

 

前書きはこの辺にして、このようなおかしな背景の人間がした就活について、以下に記載する。

 

 

初期研修先の選択は?

生の時点ではまだ具体的な労働像が見えていなかったことや、"労働からの解放" を主眼に置いていたことから、ロクに考えもせずハイポそうな施設に応募した。バイト代のほどんどは航空運賃に消え、よく空を飛ぶ生活をしていた様相とは対照的に、成績は腹を擦りながら地面スレスレで卒業を迎えたので、倍率の高い、paperがある有名病院などはそもそも眼中になかったし、ハイポであっても選択肢には上らなかった。言わずもがな大学病院はその組織性の高さと労働条件から真っ先に選択肢から除外した*4

この時点で、解像度低めのイメージとしては、「東京近郊郊外の、給料高めで、休みがとりやすく、研修医なしでも病棟業務が回り、したがって残業も少なく、歯抜けの診療科もあるが主要科は揃っている200-400床前後の総合病院」を候補に挙げた。この条件下ではネットで検索すると結構な数の「ハイポ病院就活ブログ」なるものがヒットするので詳細はそちらに譲りたい*5。最近では具体的な施設名まで出して紹介するTwitterアカウント、某巨大掲示板、北の大地っぽい名前の食べログ的アプリなど、一定の情報は蓄積されきったように感じるので、初期研修先の情報格差は比較的狭まっているはずである。あるいはハイパー就活ブログを見て、すべてその逆に該当するように施設を探すのもまた一興である。

 

しかし専攻医*6なる今の立場になって考えると、上述のような安直就活ブログでは将来のキャリア形成まで言及している記事は少なく、まず初期を安泰に修了することが主眼に置かれている記事が多かったように感じる。これらにおいてはあくまで選択の仕方を書いているのであってその後の彼ら/彼女らの進路にどのような影響をおよぼしたか、その選択はよかったのか悪かったのか、そもそも正しかったのか間違っていたのか、などフィードバックに乏しいものが多数である。恐らく彼ら/彼女らその多くは大学入局などいわゆるメジャー街道を経験していくと想定され、親族が業界人であるか否かもベースとなる人間の気質や生育環境に大きく影響を及ぼしているように感じるので、そのあたりも本来ならば開示されるべきである*7。ちなみにワイは田舎出身の外様やで*8

 

 

そのうえで俯瞰的に初期時代を振り返るならば、初期の施設選びでまず最優先すべきは救急の充実でも勉強会の有無でも寮の有無でもなく「自施設に残れるか、最悪残ってもいいか」ではないかと思う。初期研修は余程の事故がない限り基本的には時間が解決し、自動的に修了するものである。それに加えて2年間というごくごく短い期限付きである。初期研修の待遇だけを見て就活するのは長いスパンで考えると逆にコスパが悪かった。特に大学回帰を95%くらい選択肢から外していた自分にとっては専攻医に上がる際に就活する必要がある可能性はかなり高く、心理的負担や就活に費やす時間の面からは、しないでよい就活はしないに限る、というのが専攻医の就活を終えた率直な感想である。なぜなら専攻医の就活は後述の通り"水物"だからである。

 

 

就活に踏み切った理由は?

他施設を経験したいという自分の欲望と、②進みたい診療科が自施設になく社会的に就活を迫られたこと、の2点が直接的な要因である。

 

学生の時点である程度は専攻科は絞る必要がある。必要がある、というよりは絞っておいた方が良い、程度の言い方の方が適切かもしれない。診療科を絞ることで将来像を具体化できるからである。そして実際のところ、初期研修でそこそこ思想が変わったとて、診療科は学生時代になんとなく思い描いていたところに落ち着いていくことが、同期を見るに多い。

 

自分はそもそも学生時代学問自体に興味を持てなかった上に、社会人をして以降大きく思想に変化があったので、かりに診療科を絞っていたとて就活はしただろうから、絞ろうが絞るまいが就活をするという結果は変わらなかったと推測している。このようなパターンでは一々過去の選択を悩んでも仕方がない。

 

しかし初期研修中に診療科を決めれば良い、という思想は単なる問題の先送りでしかなく、時間が解決することもなかった。人間の思想はそう簡単に変化しないということを考慮すれば、どんなに興味が無かろうと学生の時点で消去法的に選択肢は絞れる。要素を必要十分に削ぎ落としたうえで詳細なキャリアを考えることでより自分の思い描いていた人生に近づけることができる。それくらい診療科を絞ることは大切である。そしてそれと同じくらい、初期研修先を決めることは実は重要なことであったことに、学生ワイは気づいていなかった*9

 

 

どのように初期を決めればよかったのか?

れは初期研修先での経験を否定するものでは全くない。むしろ前述の①/②のように考える契機になった点で人生のターニングポイントとしてとても充実した2年間になった。

 

最も大きな変化は内科を専攻することを是としたことであるが、マイナー内科は設置している施設が限られているので、少しでも専攻する可能性が残っているならば歯抜けの施設はやめた方が良い。本当に資格としての修了を目指すならともかく、一般的なキャリアを継続する可能性が1ミリでも残っているならば初期はマイナー科のある総合病院を検討した方が良い。そしておそらく、それは外科系マイナーにおいても同様であろうと思われる。もっと踏み込んで言えば、今後の保険医療に従事する気があるならば、ある程度診療科の仕事を理解するという意味で、最低でも2週間程度で良いので研修医時点で選択しておくべきであるし、自分もそうであるべきだったと思っている。他科の様相がポリクリの記憶で終わっていると仕事がやりにくすぎる。初期研修の目的の一つに診療科の共通言語を理解するというミッションがきっとある*10はずである。そして専攻医になって専攻科ローテが始まると愈々誰も教えてくれない。

 

そして次に重要なことは、専攻する可能性のある診療科をもつ施設において、専攻医以降の採用枠があるのかどうかを確認し、専攻医であれば基幹プログラムがある施設を選ぶのが現状の最適解である。特にマイナー外科は大学病院以外の選択肢が少なくなるが、こと内科に関しては非常に多くの施設で基幹プログラムを有しており、しかもその一部は医局派遣とは全く別の独自の採用枠を擁しているのである。大学採用で市中派遣のプログラムを利用する手もあるが、独自採用枠を獲得し、ほぼ常勤扱いではあるものの非常勤待遇とし、人事権を自分の手でコントロールするという人生もまた一興である*11

 

とするならば、そもそも医局派遣のみで占められている施設は見学する意味がないし、診療科を絞る以前の問題として施設を絞ることも並行して進める必要がある。残念なことに、施設ごとに医局支配が決まっているわけではなく、施設の診療科単位での支配である上に、医局人事についてはオープンな情報は非常に少なくなっている。これはひとえに多くの専攻医が大学回帰を果たしていることの証明でもあり、需要の無さからまったくもって盛り上がりに欠けている。基幹プログラムを有している施設でも実際は医局派遣のみで占められていたり、実質八百長選考で外部からの応募はお祈りされる*12ようにできているなど、ただ文字を読んで額面通り受け取るだけでは攻略不可能な裏側も垣間見えた。

mao.5ch.net

 

どうすれば医局支配を攻略できるのか?

大がかつてそうしたように、自分の足で歩いて、見て、聞いて、確認する。


 

見学で何を聞けばいいのか?

学に行かずとも、メールで事務に聞けばよい。逆に言えば、これは時間の豊富にある学生時代から細々と作業し続けることも可能である。むしろ貴重な有給を消化しながらこのような雑用を繰り返すよりも、学生時代に事前調査を行っておけばと後悔もした。このような視点は就活をしてみて漸く分かってきたことである。学生時代に教えてもらいたかったことである。

 

 

いつから就活してたのか?

"職場を人間で選ぶな"とはよく言われるものの、よく言われるだけあって人間で選びがちである。そして今回も気質で選定した。急性期病院はかなり人事異動が活発であることから初期1年目3月までにある程度施設であたりをつけていて、初期2年目になってすぐメールを出せるようにしておいた。4月は各施設とも多忙で受け入れ余裕がない、もしくは受け入れてもスタッフが忙しすぎて時間が取れないことも多々あるようなので、5月以降が望ましいと考えられる。4月1件、5月3件、6月2件と結局5件を見学したが、メールだけで言えばおそらく15件程度は出したのではないかと思われる。もっとも、1年で相当数異動のある施設においては雰囲気は大きく変わることが予想され、一定の評価はもはや不可能である。

 

多くの施設で、自施設で基幹を採用してから医局派遣で穴埋めをするかもしくはその逆、あるいは基幹と派遣を同時に調整している。医局派遣が優先の施設は「枠があるかわからないので期待しないでくれ」などと見学で伝えられる。いわゆる殿様商売の状態である。7月までにはどの施設も概ね採用を終了することが多い。大学の医局説明会は5月~6月にかけてピークで、WEB説明会に参加して参加者にメールを送り見学日程を調整するという流れを採用しているところもある。関連の派遣実績のある施設紹介がたいていあるはずなのでWEBだけは参加しておいてもいいかもしれない。ごく一部の施設では基幹の募集が10月以降という狂気の沙汰を実施しているところもあるが、それは例外と考えて良い。この時期は意思決定に次ぐ意思決定を行う必要があり、たいへんなストレスである。ただでさえ禿げている頭がさらに禿げてしまう。

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何回お祈りされたのか?

1回お祈りされた。大変心外である。最終的には4件応募、内訳は1件途中棄権、1件内定、1件お祈り、1件採用(現施設)となった。欲張りすぎはよくない。ご縁があった施設にお世話になるべきである。選考は大方書類が通れば面接も通る、あるいは見学時に部長と会って雑談ののち部長判断で採用/不採用とするかを決めるというシステムの施設が多いように感じるが、中にはちゃんと面接してくる施設もあるので、対策を怠ってはいけない。初期と同じような解答を準備しなければいけないようないわゆるお堅い"面接"の施設もあるので、それはよくよく把握しておく必要がある。雑談だと思って現場で「橇の合わない同僚の対処法はどのようにしますか?」などと聞かれて現場でしどろもどろにならないように気を付けたい*13。雑談に強く、一対一対応の質問-解答というような面接で主導権を持って行かれるととても弱いことを自覚している。そのような面接形式の施設は見送るということでも、選択肢の多数ある初期においては困ることはなかったが、そもそも門が狭いとそうも言っていられない。

 

 

どのように採用決定したのか?

本命の施設が募集の遅いところだと、滑り止めが滑り止めとして機能しないこともある。内定をもらったとて、多くの施設でその場で自らの就活を終え、他施設への応募をやめて採用受諾しなければ採用とならない施設が多い。稀に併願可能な施設もあるが例外と考えて良いだろう。採用受諾しなければ次点順位の専攻医に採用通知が回るようなシステムである点で"水物"である。

また、大学派遣が突如中止になり(大学都合や派遣予定の本人都合など理由は様々らしい)採用枠を復活させて新規募集に踏み切る施設もあり、はたしてその時点で市場に流浪の専攻医などいるのか甚だ不明ではあるが、そのような意味でも採用枠は"水物"である。

 

実際のところは7月末に通知された内定を蹴り、10月の採用通知でお祈りされた後で今年度採用枠のなかったはずの施設から採用枠復活の案内がありそのまま採用の流れとなった。自分でも予想だにしなかった転帰を辿り、文字通り運ゲーである。時間を割いて多くの施設に顔を出した成果とも言えるかもしれないが、採用枠がなかった場合はニートだったのかもしれない。

 

 

就活は失敗だったのか?

失敗......なわけあるかゴルァ...!

 

そもそも成功か失敗かは現段階で結果を出すのは早計で、初期の就活と同様に、数年後にフィードバックすべき中間結果以上の意味でもそれ以下の意味でもない。実質的な失敗*14と解する読者もおられるだろうが、確かに第一希望ではないが、一度は経験すべきと思っていた施設で椅子があったことと、声をかけて頂いたことには、採用枠がなかった未来の回避という意味だけではなく素直に感謝できることである。強いて言えば全く望んだ働き方ではないが、トレードオフの範囲内で、十分に納得しており、個人的には実質的な成功と評価している。

 

 

もっと書いてください

詳細な数字や固有名詞については記載することができない。追記してほしい内容や個人的な相談あればコメント欄やTwitterのDM、リプで。

*1:中心であることは認めるが正解であるとは言っていない

*2:誰もブログ化しないのでその指摘は当たらない、という批判は受け入れる

*3:他人の人生に影響することもないことはないだろうが

*4:低俗な人間なので博士号や学問追求には興味がない

*5:外科が忙しくない、当直明けが休みなど。逆に救急はちゃんとしていた方が良い、など

*6:代謝内分泌内科

*7:てか本来って何基準なのか?とか言ってはいけない

*8:蒙古弁ユーザーではある

*9:ここでりんの音が鳴る

*10:ガイドラインで定義されているかは知らないが

*11:いわゆる根無し草になるという指摘も甘受する

*12:不採用となる

*13:実際何を答えたか覚えていないくらいには適当な解答をしたように思う

*14:m9(^Д^)プギャー

【三次1分乗り継ぎは可能】接続列車皆無な日中の備後落合から奥出雲おろち復路へ乗車した【広島9時発】

論、三次駅の1分乗り継ぎは可能です。読み飛ばしたい人は ここへ。

 

倒的人気を誇る8421列車こと奥出雲おろち号。サンライズ出雲こそ接続ないものの、出雲市近傍の観光と併せて宿泊需要を喚起し地域の観光振興に大きく寄与している存在として著名であるのは最早周知の事実であるが、それゆえに乗車の権利を獲得するのも相当の難易度である。CYBERSTATIONで見る限り、たったの64席が全席即日完売のうえキャンセルもなかなか落ちてこない。ツアーで一部の座席が占有されている日程も存在することから指定券の確保は至難の業である。

 

っぽうで、復路の8420列車はそれとは対照的に乗車前日でも空席が目立つ。往路は備後落合でそのまま折り返し木次行きになるが、各方面から備後落合までの接続列車がおよそ数時間にわたって設定されていないためである。往路で備後落合に到着した後は芸備線で各方面へ接続するか、木次線を引き返すかしか選択肢がなく、広島・新見方面からの需要は満足できていないのが現状である。

 

い立って乗りに行こうとしても往路は必然的に選択肢から外れるので、今回は知る人ぞ知る?復路で出雲行きを計画したものである。まずは広島9時台の芸備線で三次をめざす。

 

もくじ(行程)

 

芸備線1814D 広島09:02→三次10:42

久しぶりの18きっぷで北上。実はキハ40ともども数年ぶりだったりする。クルマの利便性には鉄道は勝てないので。

日中の末端区間はやはり厳しい。三次は広島から高頻度で高速バスも来ているしそこそこ大きい町ではあるが、いかにもローカル線らしい閑散とした車内である。

 

 

備北バス 庄原駅行き 三次駅10:43→庄原駅11:22

奥出雲おろち復路を高難易度たらしめオタクに二の足を踏ませている理由はおそらくこれ。 三次駅での時刻表上1分乗り継ぎを成功させないと、各チェックポイントで大幅な時間ロスを強いられることとなる。本記事の要点はすべてここにあるといっても過言ではないだろう。

 

駅舎を出た時点ではまだロータリで配車待ちしているところであったので、思ったよりも余裕ある接続ではあった。1814Dの三次でのドア扱いが42分20秒くらいだったので、実質40秒くらいではないかと内心焦っていたが、なぜか庄原行きは1分遅れて44分丁度に発車した。



平日はまだバスの本数が多いが、土休日は半減する。都合のいいことに三次10:43発の庄原行きは土日祝日も運行されているのである。前後の庄原行きは運休しているので、このダイヤの恩恵に与れるのは大変優れてゐる。

http://bihoku.co.jp/wpcms/wp-content/uploads/2021/09/ZI_sanjo_miyoshi_20211001.pdf

 

 

奥出雲おろちに公共交通で接続する唯一にして最終の接続ルートに違いないのだが、利用者の中にオタクはおらず、人もまばらな庄原駅へ定着した。

 

備北バス 西城中野行き 庄原駅11:32→西城病院前12:02

 

さらに備北バスを乗り継いで山中へ分け入る。

当該便は凡そ15分前に庄原駅を出たのち、市内を周回して再び32分に駅前に戻ってくる特徴的な運行ルートが組まれている。10分弱の接続で三次から乗り継げてこれで終点まで乗車する。

今回は西城中野の一つ手前の病院前で下車した。

これは病院前にタクシーが待機していることを想定してのものであったが、バス停自体は病院の敷地外徒歩数百メートルのところに位置しているし、土日は外来休診のためタクシーは配車しないそうなのである(後述のアラキタクシーの運転士情報)。

広島駅時点でタクシーを予約していたが、それが無難なのかもしれない。なお配車料の概念はない。年金暮らしでゆるゆると小遣い稼ぎだから儲からなくても構わない、暇だから運転してる、とのことで、控えめに言って神。

そういうわけで、本当は西城中野まで乗って中野のバス停で迎車お願いすればよかったのだが、金は天下の周り物、細かいことは気にしない。

 

㈲アラキタクシー 西城病院前12:05→備後落合駅12:15 料金2700円

迎車がクラコンで到着。タクシーはクラコンに限る。

 

手前でメーター切ってくれる正しすぎるタクシーに釣り銭を貰って頂き下車。

駅前にはぼくなつ*1的な景色が広がっている。今回も私は優れ果てたサンダルを召しているので、川に入ることができ、ただの週末が大変正しい夏休みと化した。やはり膝下全域不潔論は自明。

 

追記

FAQとしてこの記事が役立ってほしいものの、役立ちすぎて復路が人気になるのは勘弁なんだよな。みんなおれの記事見ないで(見て)

社会人1年目まとめ

社会人1年目が終わり今日から2年生になった。1年目は割とあっという間に終わった気がする。

それで、なんで自分は社会人をやることにしたのか、改めてよく考えた結果、紆余曲折の末に、蛍光灯を買うために社会人をしているんだ、という重大な気づきを得た。

 

忙しい毎日を送りながら、自分の生きる意味を見失ってはいないだろうか?叶えたい夢を押し殺して四半世紀が経ち、もう忘れてしまった夢が各々あるのではないだろうか?そう振り返ったときに、"別にやらなくてもいっかな、まあ許せる、でも意外と忘れないことで、実はやってみたかったこと"がいくつかあることに気づいている。そのうちいくつかは、激しく幸福中枢を刺激する麻薬たりうる可能性を秘めている。

 

3月26日にある筋から蛍光灯をおよそ7万円で購入した。

29日には到着していたのだが、肝心の光り物が欠損しており、退勤後にやらなければならないこともあったので、しばらく物置小屋の肥しと化していた。

そして本日直管蛍光灯を装着し、お披露目となった。

とても素晴らしい。特有の淡い点滅とともに蛍光灯が点く瞬間が生き甲斐だ。仕事して本当に良かった。そう思えるガラクタだ()。

 

よく即売会で降ろしたての巻き取り器が売られているが、主電源が家庭用の100Vに対応しておらず、自分で工作しないといけないのが少々面倒臭い。わざわざ買い付けに行くのも面倒臭い。しかもそこそこ高い。そう思ってずっと躊躇っていたが、家庭用電源に換装されているものや、簡易式の指示器が付属している既製品が良く出回っていることに気づいていたので、状態の良さそうなものから適当に選んだ。

その結果、1995年9月小糸工業製造の209系のID40型巻き取り器で、方向幕を211系で使用していたものに交換したものがヒットした。バーコードリーダ式なのでピンホールでコマ認識するタイプの方向幕は指示できなさそうだが、首都圏で使われている方向幕は700mmのものが多く、さしあたりサイズの面で困ることはなさそうなので、勢いで購入した。

勢いはとても大事だ。勢いがないと、家に引きこもってYouTube三昧になってしまう。就活の初めましてメールを勢いで送るのにとても近い。出来ることは全てやれ、が就活の鉄則だ。まあ大抵分かってても全部は出来ない。

 

搬送中に割れると困るということで蛍光灯が外された状態で届いたので、電気屋で適当に探してきた。

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絶妙に黄色がかった発色が良い味を出している。昼光色でも色温度低めが良いと思う。300円だかそれくらいで買えた。蛍光灯の相場がどれくらいなのか、縁がなさすぎて分からない。

 

裏側を撮ってみた。

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LEDの方が光量あるし寿命も長いが、蛍光管の両端が黒ずんでいるところとか、点灯時にチラつくところとか、LEDに無い魅力がある。

 

 

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指示器が無いので幕の横に立って手動で回転させるしかない。

本当にこれになっている。


幕回しを楽しむうえでは意外と致命的である。近いうちググって電子工作をしたい。

 

しかし家に帰ると楽しみがある、というのは、これは大変な生き甲斐ですね。やる気がなくて3年目以降の職場探しとYouTube(視聴する方)くらいしか打ち込んでることがなかったが、趣味も真面目にやらないと人間オワコンになりますね。仕事も楽しめると良いが(多分無理)w

 

以上

謹賀新年 東国三社巡りまとめ

正月は必ず遠方で初詣に行くと決めている。中学3年だか、高校1年だか、詳しい時期は忘れたが、それくらいから自分の恒例行事にしている。

ソースは定かではないが、初詣という行事自体、明治ころから始まった歴史の浅い行事で、輸送各社の販売戦略に起源をもつという話もある。初詣をコンテンツ化することで各地の寺社への旅客需要を喚起しようというものである。鉄道路線沿線の寺社は大きくPRされ、われわれの良く知るところとなった、という通説がある。それで、平成29年の冬休みには弥彦に行くことになった。

 
 
 
 
 
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今年は社会人元年ということで、休みも少ないので、泊りは腰が重く、日帰りで行ける範囲内の寺社を探すことになった。一都六県で寒くない*1方面へ、ということで行先を鹿島に設定した。初詣は鉄道各社の戦略だと書いておきながら、今回は車で回る。なお鹿島はクソほど寒かった*2

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朝8時半に、帰省にて上京中のオタク2名を拾い調布から中央道へ乗る。首都高は渋滞していなかった。10時には鹿島潮来を降りた。しかしさすがに鹿島神宮の前は各地からの客で混雑していた。神宮の公式な駐車場はすでに満車で、要領を得ないクルマは市内を周回させられていた。駐車場探しはクルマの面倒なところである。

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三が日は1回1000円で土地持ちが駐車場を生業にしている様子がみられる。800円だったり500円だったりまちまちであるが、比較的遠いところでも、「この先は全部満車だから」と言って1000円に設定し、要領を得ないクルマを積極的に誘導し阿漕に商売している。たしかに相場は1000円であるが、近くて空いていてしかも安いという駐車場はいくつか見受けられた。むしろ比較的多い印象である。

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下三宮は伊勢参りができない江戸の民衆が代替として鹿島・香取・息栖の3社を巡ったという歴史にはじまるそうだ。葦原中国は天照の長男・次男が統治していたが、自分の子供に統治をすげかえさせようとした際に次男が拒否した。大国主命が3神を派遣し、武力による占拠を完了したが、その3神を祀ったのが東国三社の鹿島・香取・息栖である。次男は諏訪大社に追われる身となるが、その諏訪は昨年秋に参拝した。

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あけましておめでとうございます。

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参拝前に禊をする池。雨が降っても一生水位が変わらない。洗面器の原理とか言ってはいけない。横で鮎の塩焼きが売られていたので食った。

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歩いて鹿島神宮駅へ。高架駅で駅前は再整備されている。三が日でお店はやっていない。店自体も少ない。香取神宮へ向けて出発する。

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潮来あやめ祭りが有名であるが季節外れで何も観測できなかった。

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潮来駅の裏にあるホテル。あやめ園の高架から英語とカタカナ交じりの絶妙なバブル感のある屋根看板が見えたので歩いて行ってみた。廃ホテルかと思ったら実働していた。失礼極まりない。

 

チェーン以外の店が軒並み営業しておらず昼食難民になった。結局ファミリー・レストランにオタク3名入店し、からよしのガストなから揚げを食った。Gustoはスペイン語でおいしいの意。限界だ。

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佐原は伊能忠敬の故郷である。小江戸の異名よろしく平屋の木造建築が整備されている。旧宅周辺を散策した。

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香取神宮は15時を回って漸く到着した。日が落ちてきているにもかかわらず大変な人出である。参拝自体は整列が行われているのである程度スムーズではある。

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香取神宮は周囲を道路が取り囲んでおり、公式な駐車場は無料であるが内回りからしか入場できない。しかも長蛇の列になっている。外回りで走行すると例によって土地持ちの個人の邸宅の庭等で1回500~800円の時間貸しが三が日限定で営業されている。地主が廃タイヤや薪などを炊きながら寒空の中で誘導している。大変商魂逞しい。見習わなければならない。

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香取で御籤をひいた。刑務作業の一環でつくられているとおもわれる。御籤は1年に1回だけと決めている。ガチャの意味がなくなってしまう。絶対にドブしたくないならば伊勢神宮に行けば良い。伊勢神宮には御籤が置いてないが、それは伊勢神宮を参拝した者は全員大吉だからである。

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長居しすぎて日が暮れたが、息栖へ向かう。丁度社務所が閉まるころに到着し、オタク2名も無事御朱印を押してもらうことが出来た。もとは写経を納めた証明であることを忘れてはいけない。安易なスタンプラリーと化しているが、課金で写経をスキップしているだけである。いかにもオタクが考えそうなことである。

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464号を外れて京成臼井の団地に向かった。団地の中で塩泉が湧いている。酒々井の湯楽と迷ったが、距離的に近かったので澄流にて投湯した。

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昼に続いて夕食も難民化した。店という店が閉まっている。街道沿いのくるまやラーメンを見つけたので吸い込まれるように入店した。

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ラーメン右翼からは味噌ラーメン以外邪道だと言われているが、普通に正油を頼んでしまった。同行しているオタク2名は当然味噌である。くるまやラーメンは各店舗で自由度が高いが、味噌だけは全店舗で設定しなければならないメニューになっている。

 

側道で千葉北まで行軍し、東関道・C1経由で国立府中へ帰還した。混まずに帰れば1時間はとても近い。

 

*1:スタッドレス履いてない

*2:最高気温で5℃

地図が生命線だったころ

とにもかくにも地図がなければ旅行できない。旅行どころか明日の講演会の会場だって、飲み会の会場だってわかりゃしない。それくらい地図って生活に浸透してるということ。もちろん、そんなことはあんまり意識することはないけれども、過去の旅程表とか、旅行をする前に集めた資料なんかを見返してたりするとまた別の話になってくる。

 

 

中学・高校の頃はスマホを持ち歩いていなかったというのがあって、結構最近(5年前くらい)になるまで、旅行は行き当たりばったりではしなかったし、そんな発想もなかった。知らない土地に行ってどこに何があるかもわからないのにどうやって行動しろと...という考えだったので、放浪なぞ思いつきもしなかった。
それでも国内旅行を重ねているうちに国内の大抵の場所は分かるようになったし、駅前にどういう店があってどこ行きのバスが出てて銭湯がどこにあって、ということくらいはどうしても必要になる都合上頭には入っていた。ただそれだけじゃ面白みに欠ける。

 

この区間飯田線が迂回する都合上歩いても追いつけるという原理を利用した遊び(?)なのだが、時間がシビアなので、この時もやっぱり地図を読み込んだ。

ちなみにアンサイクロペディアの記事にもなってて、珍しく記事が真面目。これは10年前から全然変わってない。

https://ja.uncyclopedia.info/wiki/下山ダッシュ

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119系。もうこんな光景を見ることはできない。

ところで、ストックホルムに行ったときにちょっと気になった事があったので、こんな記事を書いた。ガムラスタンの宮殿横で見た景色と小樽駅前が似てるなって話で、この時は太陽の光の向きとか、あるいは坂の勾配なんかも関係していたように思う。

note.mu

感覚的に似てるなあと思ってもなぜ似てるかっていうところを突き詰めていくには、ある程度客観的な事実に基づいて検証しないと落ち着かないので、そういう時にはまず地図を眺めるところから始まる。建物とか、方角とか、道のつながり方...etc.

まあ手掛かりになるものはなんでもあって、こういう検証を繰り返していくと、「ここだったらこんな景色が見えそうだ」みたいなのが分かってきたり、地図を見ているだけで教会の鐘の音が聞こえてくる感じがしたりする。

こんなのもツイートしてた。

平JGC( JAL GLOBAL CLUB )のサービス内容への感想

JGC( JAL GLOBAL CLUB )に入会して半年が経ったので、国内線利用時のサービスへの感想などを書いていく。

昨年3月のオーストラリア渡航で、FOP*1の特別調整があった*2。それが結構なボーナスに化けたことでステータス取得への足掛かりとなった*3

 

もくじ

 

結論

ラウンジホッピングや謎に包まれたゲートに吸い込まれていく乗客に魅力に感じて上級会員を目指す人は多いと思われる。しかしながら、自分がステータスホルダーになり、多くのブロガーが喧伝するような''何か素晴らしそうなもの''から、実態をもった”それ以上でもそれ以下でもないサービス"になったことで、むしろ非JGC時代の方が、JGCに対するワクワク感があったことを自覚するようになった。とても悲しいことである。

とはいえ、この感染症下でステータスホルダーになってから、国内線しか利用したことがないので、国際線を利用すればまた違う感想を得られるかも分からないし、ステータスホルダーになってみて、会員サービスには

  • 「空港で長時間過ごすことを推奨する側面」
  • 「空港で過ごす時間を短縮する側面」

の2面性があることに気づいたのは、それまでのどの文献にも言及のなかった新鮮な気づきであった*4*5

JGCの活かし方は人それぞれであるが、あくまで本稿では上述の2面性のうち、後者をベースにして「自分のJALの利用状況に即しているか」、具体的には「最速搭乗・最速降機を達成するのに寄与しているか」を検討することを目的としている。また、本稿で取り扱うのはサファイア以下のサービスについてなので、「DP*6は違う」みたいな異論は受け付けていない。

ひとまず国内線利用時に良かったこと・悪かったことを箇条書きしていく。冗長だと感じたならばここまで読み飛ばせる。

 

国内線サクララウンジについて

JALが持っているサクララウンジ、これは結構な曲者で、地方空港にはそもそも設置されていないことがある。入会前は「大体の空港にあるな」くらいに思っていたが、入会後「意外と無いな」と思うくらい少ない。先日は長崎・高松・山形でサクララウンジの設置がなく、カードラウンジを利用した。

サファイア*7到達以前にクリスタル*8を達成すると羽田のサクララウンジクーポンが5回分付与されるが、羽田を想像して地方空港を行脚すると残念感が否めない*9

さらには最近は年会費無料のゴールドカード*10が増えて、カードラウンジへのアクセスが容易になっているので、どうしても「カードラウンジではこれくらいのサービスがある、対してサクララウンジは」という比較が発生する。その結果「カードラウンジで良くね?」となってしまうのが一番残念なパターンである。もっと残念なのは「この空港、カードラウンジしかないんだが」。

カードラウンジになくてサクララウンジにあるものといえば、

  • 眺望
  • 酒類・菓子類の設置
  • いい香りがする

くらいであるが、そもそも眺望のないサクララウンジも存在するし*11、アルコール趣味がなければアルコールも必要でないし、菓子はしょぼすぎるので、これといったアドバンテージは実のところ無い。

それ以外に発生しうる or 発生した具体的なデメリットを挙げると、

  • 部屋が狭い
  • したがって混んでいる

これらは致命的である。快適な旅をサポートするための施設がストレスフルなのは本末転倒である。落ち着かないのでラウンジを出て搭乗ゲート前でゆっくりしていることも多いし、カードラウンジの方が空いていることも少なくない。

 

逆にこれまでで優れていると感じたサービスは、

である。早朝搭乗時には、

  • 昨晩に風呂に入らず寝て、翌朝保安検査を済ませた後の待ち時間でシャワーを浴びる

という合理的な時間の使い方ができる。

また、保安検査場締め切りギリギリに保安検査を済ませても、搭乗までのわずかな時間でもラウンジに滞在できるような位置に設置されていることで、

  • 事前にペットボトルや缶で飲み物を買う手間を省くことができる

のも大きなメリットである。例えば羽田空港内保安エリアには自販機が設置されていたりするが、ステータス取得後は一切利用しておらず小銭の節約に一躍買っている*12

上述のように整理してみると、ラウンジの本来の設置趣旨である「ゆっくり寛ぐこと=時間を長く過ごす人向け」は達成できているかすら怪しい上に、カードラウンジでも概ね代替可能であることが分かる。

 

国内線の手荷物の優待とプライオリティタグについて

つまりは、

  • カウンターには寄らない、荷物は預けない

のが最速搭乗・最速降機を達成する(効率を追求した際の)最適解である。時間に余裕があり、空港内を重い荷物を抱えて移動したくない場合はこの限りではないし、そもそも大きな荷物を持っていかざるを得ない長期旅行やビジネス需要、あるいは国際線では十分な威力を発揮することが予想できる。

しかしそのような場合であっても、受託をできる限り避け、機内持ち込みを行うことがより合理的な選択肢である*13

JALの国内線においてはほぼ事前にQRコードを入手できるので、チェックイン手続き等を行わずに直接保安検査場に向かうことができる。例えば羽田であれば、エスカレータを登り切った先が保安検査場の目の前になるので、そこからわざわざカウンターまで往復する5分~10分(繁忙期であればさらにかかる)のことを考えれば、このメリットを活かさない手はない。

 

国内線の前方座席指定について

個人的にはこの権利が最も重要であると考えている。クラスJのすぐ後ろを指定できるのは大きなアドバンテージである。club-Aカードの年会費を鑑みるに、クラスJをおよそ7~8回*14指定することに値する*15と思われる。

いわゆるブロックも解除されるのは大変ありがたいことであるが、サファイアであってもブロックされていて予約できない座席が存在する(773の15列目、クラスJ後最前列など)ので、自由度はそれほど高くない印象を受ける。窓側指定ができないのは地味にヘコむが、窓側よりも通路に面した座席で事前に選択できる自由度が高いのは「最速降機」を達成するうえでとてもアドバンテージがあり、優れている。

 

優先搭乗について

受託しないために発生した機内持ち込み手荷物のための荷物棚を確保できる点でメリットがある。

しかし自分は空港WIFIを最後まで利用していたい人間なので、「ファイナルコールで確実に呼んでもらえる権利」や「列が完全になくなってから呼び出してもらえる権利」の方が個人的には嬉しい*16し、ステータスを取る前後でその傾向は変わらず結局最後尾で搭乗する機会の方が多い。LCCのようにすし詰めのビジネスモデルではないから、大抵の場合は荷物棚も至近で確保できるので、それで困ったことはない。

まあそもそものサービス趣旨としてお客様に機内でゆっくりお寛ぎ頂くというのがあるから、そういうニーズは想定されるわけがないんだけれども、早く搭乗しても手持無沙汰であるというのが実情ではないだろうか。

巷では「これみよがしに優先搭乗することで平民への見せしめ的マウンティングになり、自己承認欲求を満たすことができる」というのもメリットとして挙げられているが、大変無粋である。

 

ゲート通過時の効果音変化について

オタク以外は気づかない*17

 

国内線JGCカウンターや専用レーンについて

待ち時間フリーは自明なアドバンテージとして、上述の理由により国内線にて手荷物を預ける機会は原則として発生しないので、カウンターを利用する機会はないので享受する機会がないのが惜しいところ。カウンターを利用と前方座席指定は二律背反のサービスである。

というのはあまりにも乱暴なので追記しておくと、繁忙期・繁忙時間帯・主要幹線において一般保安検査場が混雑している場合は専用レーンの存在は大きいと思われる。これらの状況に遭遇したことは今のところないが、今後威力を発揮したシーンがあれば記事を書きたい。

 

優先空席待ち・優先キャンセル待ち

日航空券を購入するような富豪でもなければクラスJに乗らないと死んでしまう人でもなく、国内線は普通席で十分なので利用する機会はおそらく無い。が、有事に備えて横入りできる権利があるのは助かることである。

 

手荷物許容量増加

23㎏2個とか持てない。

 

ボーナスマイルについて

飛行機に乗る人のためのサービスであることを改めて思い知らされる*18

マイルを期待してFSCを利用するのは本末転倒で、コスパを考えるならまずLCCスカイマークやAirDoなどの第三勢力を利用するのが賢明である。何度も言うように、FSCを利用するのは不測の事態への備えのためであるから、それを自分で織り込むことができるならばFSCを利用する必要は全くない。また修行を行った際のマイルで幾らか修行費用が還元されるので、修行費用が実質○○円という表現をしているブログも多々あるが、学生会員ですら良くて半額を取り戻せるかどうかだから、況や社会人をや、といった感がある。

 

JGC専用回線」が個人的に一番重要視するメリットである理由

これだけ付帯するサービスはあるものの、すべてのフライトですべてのサービスを享受できるわけではないし、そもそもの制度設計上同時に受けられないサービスもあるわけで、コスパの話をし出すと負け確である。上述以外のサービス(AGORA配布、カレンダー等々)を含めて考えても尚余りある。

それでも自分がJGC修行に踏み切った大きな理由があって、その事情は以下に詳しい。

この記事の要点は、振替の免責事由に該当する天候不順による欠航で、隣のカウンターや電話デスクで代替便を手配してもらえている人がいる一方で自分は明らかに後回しにされているという実体験があったということと、一般会員デスクは回線混雑で1時間以上も繋がらず大変な電話代を持っていかれたということへの反省である。

 

結局何が言いたいかというと、航空業界は極めて資本主義的な世界で、語弊を恐れずに言うならば「金を払っている奴が偉い」 ので、eチケットの貴賤によって明らかな対応の差があるということである。今でこそ、庶民でも空の旅が容易く手の届く範囲にあるが、かつての空の旅が富裕層のものであったということの名残ではないかと思っていて、「上級」会員、「Priority」という言葉からもそこに明確な階級意識が存在することが推察される。安い航空券の販売根拠だってイールドマネジメントに基づいているわけだし、悪く言えば庶民はパンの耳を食わされているわけであり、エアラインの主な収入源はY*19ではなくF*20・C*21であるという事実からも其れが伺える。そもそもFSCにおいて、Yの民に人権があるなどと思い上がってはいけない。人権が与えられるのはC以上からである。その点、全席YのLCC共産主義的で極めて平等である。

ただ良心的なことに、これを解決するための手段として、庶民にも上級会員制度が解放されており、「金を積むことによって」特別扱いもとい最低限の人権が付与されるようになる。そしてその維持も庶民が背伸びをすればなんとかなるくらいには良心的な設定である。

 

そのような訳で、JGCのサービスで最も重要であると個人的に思うのはラウンジでも専用レーンでもなく、「専用の直通電話デスク」である。これを挙げている記事はなかなか当たることができなかったので、案外浸透していないのかもしれない。一般デスクを利用した人なら分かると思うが、一般デスクは基本的に長時間待たされる上に融通も利かない一方で、この専用デスク、リードタイムなしで繋がってくれるし、当方の不注意でJAL公式アプリから特典航空券を予約し、減額マイルの適用されていない引き落しでオンオン泣いていたところ、デスクに電話して無手数料で取り消してもらったり、カンタス航空の海外発着便の感染症特別対応下での返金手続きの詳細や、感染症特別ダイヤでの減便での乗り継ぎの要望などの複雑な事情も素早く汲み取り、想定外にすんなり受け入れてもらえたりして大変助かっている。「専用デスクならすぐになんとかしてくれる、"分かってる"」という安心感、すなわち「超法規的な対応の可能性とその実現力」が真のJGCの意味なのではないかと思っている。言わずもがな、はなからそれを期待するのは間違っている。

超法規的というと、「例外中の例外」みたいな雰囲気を醸し出しているが、例えば天候不順の際の各航空会社の対応を見ていると、旅程保証の免責事由に該当するものであっても食事券を配布したり新幹線代を現金で支給したりしているというのも法規外の措置であるし、エキストラの機内食がお代わり出来たりするのも割と知れた運用である*22。他にもチェックイン時間締め切り後でも止むを得ない理由によっては搭乗手続きを認めることがあったり(自験例)、事例によって対応が異なる様子を見ていると結構好い加減で、何でも有りな航空業界というイメージが先行しているので、上級会員の実態として新たに驚きをもって迎えたエピソードはあまりないように思う。むしろ「金払ってんだからそれくらいしてもらわんと」という傲慢ささえ芽生えそうで恐ろしいものである。

 

おわり

*1:フライオンポイント

*2:くだんの感染症により搭乗機会を失ったステータスホルダーがステータスを維持しやすいようにとの配慮が2月~7月搭乗分で実施された

*3:詳述しない。理由は当時の情勢、ニュース等を参照すれば察せられることかと思われる

*4:そもそもネガキャンの方が珍しい

*5:だからJGCに入会して良かった

*6:ダイアモンド・プレミアム

*7:50000FOP

*8:30000FOP

*9:羽田のラウンジが進みすぎている、ともいう

*10:エポスゴールド、イオンゴールド等

*11:那覇とか

*12:むしろその分が会員費に計上されていると考えるのが筋である

*13:手荷物受託カウンターまでのアクセスと、Priority tagのついた手荷物が返却するのを待つリードタイムを必ず短縮できるので

*14:国内線4往復程度

*15:年会費11000円から継続マイル2000およびカレンダー・ダイアリーのeJALポイントを引いた残り円をクラスJ1000円で除したもの

*16:傲慢

*17:こういったサービスで宅をおちょくるエアラインのセンスには脱帽である

*18:沖縄4往復、現地滞在費用等々トータルで84000円程度で解脱したが、興味本位で取得するにはあまりにも高額である

*19:Economy Class

*20:First Class

*21:Business Class

*22:本邦FSCではそのサービスは無い模様

大型一種免許を取得したら、自分の生い立ちを思い出した

 

 

 

もくじ 

 

 

まえがき

山形*1に、来ちゃった。

 

教習内容がどうでもいい人はここにどうぞ。 

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教習内容のふりかえり (1段階)

・1段階1時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

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4か月ぶりのMT車、1回エンスト。

うしろ2軸のうちの前側軸の軌跡を覚えるのがこのコマの目的。新車登録したてだったので、まだゴムの香りが残る車内で教習車らしからぬ雰囲気であったが、ギアが入りにくく苦労した。

中型(ファイター)の時と比べるとだいぶキャブがはみ出るし、運転はしづらいけれども、慣れたら思っていたほどでもないかなと思った。特に左折時は助手席のシートが縁石を超えたあたりでステアリングを左に切り始め、左折を開始する。

 

・1段階2時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

 

路端→オーバーハングに注意しながらハンドルを1回転して脱出

S字・坂道・踏切→特に問題なし

 

・1段階3時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

 

隘路→ハンドルが切れるので中型より楽

後方確認→結果;80cm・100cm。試験当日50cmを攻めるのは無理そう。2回不成功で10点減点なので、中型の卒業検定時同様にとりあえず当てないようにバックする。中型でも難しかったけど大型だと距離が伸びてさらに難しい。

 

・1段階4時限目

教習車:2代プロフィア*2ハイキャブ3軸平ボデーf:id:series189:20210326231534j:image

 

コース確認。夜間の教習かつ初のハイキャブ車でエアブレーキ、車両感覚、あとアライメントが狂っていたので隘路で困るなど散々だった。教官もイマイチで指導という指導をしてくれないので、夜間で周囲が見えづらいということもあってあまり勉強にならなかった。夜間の教習が入ってる人は大概損だと思う。

 

・1段階5時限目(みきわめ)

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

見極めなのに結局ハイキャブ車を1度しか乗らずに修了検定が決定した。ローキャブとハイキャブだと見え方・サイズに明らかな差があるのと、ステアリングの切れ角がだいぶ違うので、検定車でないと隘路の練習にならないのがデメリットである。

これまで指摘されなかった点で今回初出なのは以下。

・高回転域まで引っ張らない(2速でガラガラ回してもOKだった)

・バックストレートは5速まで入れる(4速40kmが通例だった)

坂道発進で坂道の頂上から左折合図を出し始める(特に指定はなかった)

・左折時の脱輪(中)3回(ハイキャブ車と切れ角が違う)

教官*3の巡り合わせが最悪で、面倒になって適当に教習を終えた。途中修了検定のコースを間違えたせいで課題の順序と修正経路が分からなくなり、なおかつその後も右左折の指示がないために円滑な教習コマとならなかった。

教官によっては言語化が不十分だったり、意思疎通に問題があるケースも多々あるので、一々その良し悪しをとりあげても仕方がないことであるが、2日間でコース*4を完全に覚えて見極めに臨まなければならないという教習所は聞いたことがないし、その他細々とした指摘も勉強にならなさすぎてさすがに腹が立った。

 

修了検定 

検定車:2代プロフィアハイキャブ3軸平ボデー

いきなり乗車してスタート。慣らし運転があるつもりでいたので、出発してすぐ路端停車の課題が提示されたときは「乗車前の車体周囲の確認もしてないし、慣らし運転無いのかよ」とちょっと動揺した。毎回の教習中に車体周囲(特に後方)は念押しされていたので拍子抜けしてしまった。

前夜の運転内容を踏まえ、左折時の脱輪を危惧して、個人的にはかなり左に大回りしてしまったつもりだったが、結果的に手本通りの間隔で回ることができた。延泊だけは絶対に回避したかったので、40km課題以外は時速15~20km(3速まで)で検定をおこなったため、降車時の検定員のコメントは「もっと円滑さを意識して運転しましょう」。受かるためだからこれで良い。無事合格。

 

教習内容のふりかえり (2段階)

・2段階1時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

とりあえず路上に出て走行。大型車はキープレフトを意識するよりも、左のミラーを障害物に当てないように右に寄って走行し、場合によってはセンターラインを割りながら、対向車を避けさせて走行する。

...という指導はゆくゆく色々な事故を経験することで学んだことであって、決して指導員から教わったことではない*5*6*7。2段階の教習は教習官がそもそも余所見をして指導をしない、もしくは指摘のみで指導をしないことで基本的に勉強にならず、教習所に通っている意味とは...となっていた。

 

・2段階2時限目~3時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

2コマ連続で路上。スーパーロングドライブ講習で50km弱を運転。

夜間の教習であったが、街灯のない暗い道路で、左折時に巻き込み防止のため左に寄せすぎ*8、道路側に張り出していた街路樹の枝にミラーをヒットさせガチギレされる。当たってから叱責されても勉強にならないし*9、当たる前に寄せすぎかどうか警告してくれても良いんではなかろうか*10。いずれにせよ不親切極まりない。

 

・2段階4~5時限目
教習車:2代プロフィアハイキャブ3軸平ボデー

2コマ連続での教習。所内課題の後方間隔*11方向変換*12縦列駐車*13の3課題を演習する。その後路上に出て運転を行う。

 

後方間隔
中型教習で難儀した後方間隔がさらに高い難度となって再登場しているが、2回トライして、仮に2回とも50cmを超えていても、減点10点で試験は継続される。一方でポール群に接触した場合はその時点で後方確認不足となり、不合格が確定してしまう。2段階の卒業検定では本課題が最も不合格となる原因である。したがって、難度の高い本課題は攻めすぎて一発退場となる可能性を考慮し、不得手な場合は減点10点で回避*14することが重要である。
多分一度当ててみたりすると感覚もつかみやすそうだが、面倒臭いので適当にパス。

 

方向変換
方向変換は3回の切り返しが許容されているし、ステアリングが切れるので比較的容易。
ポール側3、反対側7の割合で寄せて、あと2軸のうち前軸を縁石に誘導する。
右バックの場合はミラーが近いので後輪を視認しやすいが、左バックの場合左側ミラーが遠いので後輪を視認しづらく難易度が高い。また、中型車の増トンではベース車両が小さいので、後輪が荷台の下に隠れている仕様であることも多く、同じく後輪の誘導に難儀しがちである。
方向変換前に後輪の軸位置と荷台のあおり等の目印をなんとなくつけておくとよいかもしれない。
なお、教習所においては卒業検定時の課題で方向変換を指定されることより縦列駐車を指定されることの方が多い模様である。これは当方の推測ではあるが恐らく、縦列駐車は、感覚に頼らなければならないポイントが方向変換より少なく、マニュアル通り作業できればほぼ確実に成功するからであると思われる。


縦列駐車

縦列駐車で確実に実施しなければならないのは以下の4点で、特に厳密に守らなければならないのは③である。
①車体左側のポール群に対して1m以内に寄せる;寄せ方が足りないと右側が枠内からはみ出す

②車体のあおり中央の目印がすべてのポールを行き過ぎたタイミングでステアリングを全部切る;手前で切りすぎると、③④後にキャブを左に振れず、駐車スペースに入ることができないか、もしくは車体左側が脱輪してしまう

③右のサイドミラーを見ながら、後方のポールのうち最も奥のポールが、車体右側のあおりの後端と必ず合致するようにステアリングを戻す;ここでの誤差が最も重要で、ポール1本分も誤差があってはならない。誤差があると左が脱輪したり、右が脱輪することになる

④左側のサイドミラーがポールに干渉しない地点まで来たら一気にステアリングを右に切って車を枠内に収める。

ここで左側が脱輪したり右側が収まりきらなかった場合、3回までは切り返しが可能なので、落ち着いて修正すればよい。

 

・2段階6時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

路上教習からの所内演習。適当に走行して終了。

 

・2段階7~8時限目

教習車:3代プロフィアローキャブ3軸平ボデー(増トン)

排気ブレーキ演習のため山へ。4段階の排気ブレーキのうち1~2段階で十分強い制動力が得られる。

 

・2段階9時限目(みきわめ)

教習車:2代プロフィアハイキャブ3軸平ボデー

この回で縦列駐車に失敗し、上述の知見を得る。

 

卒業検定

検定車:2代プロフィアハイキャブ3軸平ボデー

方向変換縦列駐車を比較すると縦列駐車の方が割合としては多いという事前情報通り、縦列駐車が試験課題となっていた。受検番号は1番で、8時45分からの受検である。

今回も慣らし運転はなく、発着点から後方間隔に誘導し、上述の通り戦略的撤退を行い後方間隔をクリア*15

場内後に路上パターンと路上後場内のパターンがあるようだが、本校は前者で、後方間隔でポールに当てるとその時点で検定終了となってしまうので、まずは後方間隔をクリアすることが何より重要である。

縦列駐車は作業なので難なくクリア。

路上検定ではこれまでほとんど走ったことのない細く狭い交差点が複数存在する組み合わせが検定コースとなり、大変凶悪であった。教官のコメントは、「車両周囲への配慮や確認が不十分なので、今後運転士として業務を行う上では心許ない」というものであったが、大型車と中型車のすれ違いでどちらかが停車しなければならないような狭隘道路で検定を行うのもどうかと思われ、「検定のための所作」を行っている試験者に対するコメントとしては適切ではないように感じられる。修了検定時にも「円滑な走行に至っていない」というのがコメントではあったが、交差点内最徐行や脱輪防止に細心の注意を払っていることと、円滑な動作は必ずしも両立しうるものではないことから、「指摘としては合理的であるが、評価としては不合理である」と言わざるを得ない。

今回も、全7日程をストレートで消化し合格することができた。

 

免許申請時の住所書き換えバグについて

免許の併記を行う際には所轄警察署ではなく都道府県を管轄する試験場・運転免許センターへ行く必要がある。厄介なのはこの試験場・運転免許センターが都道府県に1か所しか設定されていない場合で、それがえてして、交通の便が悪い辺鄙なところであったり、遠隔地であったりする。

今回はA県在住の住民票および免許証を用いて、B県で指定教習所を卒業し、東京都(鮫洲運転試験場)にて大型一種の併記を行うという流れを採用した。鮫洲試験場は、帰着地である東京から、ごくごく至近であり、公共交通機関でのアクセスも良好であるからである。

この場合、免許の併記はA県でしか行えないはずなのだが、住所変更を同時に行うことで、免許証・住民票記載の都道府県でなくとも、併記が可能になる*16というバグがある。

住民票は必ずしも住所変更後のものを提出しなければならないということはなく、新住所宛ての有効な消印のある郵便物を証明することができれば、住民票が旧住所のままであっても免許の書き換えが可能である。そして何より重要なのは、消印の押印日は問われないということである*17

これにより、住民票のある都道府県の不便な運転免許センターの世話になることなく、免許の併記が可能となる。現住所に戻す際には所轄の警察署で免許証裏面への追記手続きをすれば、数分で完了することができる。

このバグにどれだけの需要があるかわからないが、中型併記の際と合わせて2回世話になり、大変助かった。

 

自分がなぜ中学受験や大学受験をしたのかを思い出した

教習所の教官に理不尽に怒鳴られ続けたせいで、「そういえば自分の小学校の教員がこんな感じだった気がする」というのを思い出した。

 

 

質問すると「オメーそんなことも知らんのか」などと言って、質問に回答しないばかりか謎にキレ出す教員が多いので、面倒臭すぎて質問すること自体が躊躇われた。教習時間はまず「教官に話しかけて良いかどうか」が一番の争点であって*18、運転は二の次であったので、あまりにも勉強にならない教習7日間であった。本当に酷すぎる。

 

話は飛ぶが、小学校の教員と教習所の教官は似通っているところがかなりあって、どちらも殿様商売が成り立つ分野である。教える・教えられる側のパワーバランスに大きな隔たりがあるし、反論しがたいという境遇(厳密には言語が不自由な前者、教習期間を長引かせたくない後者、という背景の相違はあるものの)にあるというのもそれぞれによく合致している。一種のパワハラが極々自然な形でまかり通ってしまう素地がある。

 

ここでパワーハラスメントとかいう語を引用すると、かなりカドが立って穏やかならぬ、という指摘があるのは当然だと思うけれども、しかしまあ例えば上に示したツイートにあるように、「で、どうするの?」に対しては「どうしようもないです」というのが(本来は)合理的な受け答えである一方で、「で、どうするの?」を聞いてる側はそういう答えを期待しているわけではないし、それどころかむしろ逆撫でする応答であって、この場合正解の応答*19は「すみません」くらいしか認められないわけだから、応答が不当に制限されている点で明らかに非合理な外力が働いている、という指摘は認めざるを得ないことであろうかと思われる。こういうやりとりが積み重なった一連の事象がパワーハラスメントの実態であることが多い。

 

まあ終わることのないパワハラ問題を終わらせようとするほどお花畑ではないし、上に載せた一例だってそもそもパワハラだというほど声高に叫ぶようなことではないけれども*20、でも考えてみれば、特定の指示がなく自己判断に委ねられている自由な状態で間違えた(正確には、教官の想定していない事象が発生したというだけであって、間違えですらない)のに、その責任を被らなければならない(被ら「せられ」るという方がニュアンスとしては正しいかもしれない)というのは、自明に論理上の不備があるので、それで気持ち悪く思う人が多いのではないかと思っている。

 

こういうやり取りは昔からよくあるテンプレだけど、態々人を煽って不快にさせるやり方で教育しなくても別の方法があるでしょというのは常々思っていて、もっというと、楽しい時間を創出すること以外の指導は全て劣っているとも思っている。授業前の起立礼を文字通り規律化して細かく叱責するのは授業内容とはなんら関係がないのと本質的にたがわないが、なぜか多くの指導者がそうしてしまうのは、やはり「テンプレ」であること、「威圧すること」の容易さ故であると思っている*21

 

自分も例に漏れず、「で、どうするの?」式指導は大変嫌っているので、過去には「どうするんですか?」みたいな逆質問をして人を困らせてみたり、

「で、どうすんの?」

「わかりません」

「やる気あんの?」

「やる気で解決できる問題なんですか?」

「やる気ないなら帰ってくれ」

「帰ります」

「帰んな」

「意味が分からない」

みたいな会話を積極的に展開したりした。語気を荒げながらの会話になってしまうのを、時には先回りして「帰っちゃいけないんだろうけど敢えてここは帰らせていただきます」とか、「ここまではテンプレですよね」「どうせこっからキレるんでしょ?」みたく煽り散らしながら、内心周囲にも「肝が据わってる奴*22」と思われるのが楽しくて、辞められなかった、という過去がある。中高にもなると愈々救い難いイキリ=オタクの趣があるが、小学生くらいだと、周囲に多かれ少なかれ、良く分からない理論で煙に巻かれた経験があって苦々しい思いをした児童も多く居るわけで、実際にそのように評価されてアイデンティティにもなっていくし、他人が権威に楯突く様子を見て羨ましく思ったりしていた*23。気に入らないと思った次第たちどころに楯突く奴もいたにはいたが、それはさすがにタチが悪いと思って、あくまで非合理な部分を指摘するには留めるようにしていたが、どのみち小学校自体が非合理みたいなものなので、同じ穴の狢であったようには思う。思うし、言わずもがな、教員からの評価は最悪であった。

 

そして同期の医者によれば、こういう症例を反抗性挑戦障害とか反抗挑発症というらしく、体系化されているレベルだそうである。ぐうの音も出ないので以下に記事を貼っておく。

これを疾患として取り扱うかどうかという判断は別の機会にやる*24として、「人を言い負かす」という属性でアイデンティティを発揮出来る以上、こういうやり取りは永遠に無くならないんだろうなと思うようになった。そしてコンテンツとしても面白くなくなってくる小学校高学年を過ぎると、今度は「無言で抵抗する」というのを覚えて子供はさらに厄介になってくる。*25

 

 

結局、「怒って威圧すること」以外に人を制する方法を知らないので、「なぜ人が怒るのか?」ということの答えは、ざっくり「そもそも教育方法が分かっていないか、人間の挙動についての理解がないから」に落ち着く。あるいは事象そのものが非合理であるので、非合理な方法(威圧)によってしか強制できないという教育云々以前の問題であることもしばしばである。

人を怒らせる方法×30 - YouTubeyoutu.be

 

そういう環境の下、そのうち教員とドンパチやることにも飽きてきて、合理性なんか捨ててしまって世渡りをした方が楽だということに気づき始めるんだけれども、小学生ワイ、でもひょっとするともしかしたらそういう蟠りを一挙に解決してくれるコミュニティがあるんじゃないか、「五・一五事件犬養毅が銃殺されなかった世界線ごっこ*26」ができるんじゃないかと思って、親も巻き込んで総出でない知恵を捻った結果、地元進学を捨てて中学受験に飛び込んだのであった*27

一生懸命勉強すれば良く物を考える連中の集まるコミュニティで、ちゃんと話が出来るんじゃないかと思った訳ではあるが、平成末期の中学受験は大変ハードルが高かったので、滑り止めに辛うじて合格したのみで、「ワイ将、割とバカなんだなあ」とその結果に心を折られたことを記憶している。「井の中の蛙」というやつである。

 

それでもこの選択はあきらかに人生のターニングポイントになって、環境はほんとうに圧倒的に改善された。劇的という言葉を使いたいくらいである。中高ではこういうキャラクターをそのまま続けていたので、「生意気でいけ好かない奴」と言われてはいたものの、それで通って、"或るキャラクター" として可愛がってもらった。これは大変に運が良かったと思っているし、何より心の広い人々に恵まれたことを実感して感謝した*28*29。「それはお前が努力した必然なんだ」と言ってくれる人も多くいたが、「多様性を受け入れる土壌」というのがいかに貴重か、身に染みて感じていたので、そこまで思い上がろうというつもりは更々無い。矢張り環境をつくり出しているのは人なので、人を大事にしなければならない。享受した分はしっかり返礼しなければと常々感じている。

 

環境に恵まれると、それが当たり前だと思って享受することに慣れてしまうし、悪い思い出は忘れるように出来ているので、自分がなぜその選択をしたのかすら意識の俎上に無くなってしまう。そもそもなんで今大学来てんだっけ?なんでこの進路選んだんだっけ?みたいな疑問が断片的にしか思い出せなくて、複雑なきっかけが絡み合った「動機」なんてものは本来履歴書にちょろっと2-3行書いて済ませられるような代物では決してないはずなんだけれども、だからと言ってこうやって文章の形で長々と書けるか、と言われるとそれもなかなか難しい。

まあそういう意味で、だいぶ面倒くさい教習生活ではあったが、一連の教習は決して辛くて無益なものだったというわけではなかったんだよね。いや、そもそも免許取ったんだから無益なはずが無いんだけれども。

 

あと、悲しい哉、世渡りの巧さを取った方がトータル楽に決まっているので、「お前合理性を追い求めすぎて逆に非合理になっててガバガバやぞ」とかいう極めて合理的な追及をすると、たちまちアイデンティティが崩壊し泡を吹いて倒れてしまうので、絶対にしてはいけない*30f:id:series189:20210327115811j:image

*1:マツキドライビングスクール村山校

*2:グランドプロフィア

*3:指導する前に怒鳴る=指示せず補助ブレーキを踏んでから叱責する・指摘のみで指導せず自分で考えさせる=「君は何々が下手だ」という指摘しかしない・よくわからないジェスチャーで指導してくる等々

*4:通行帯が2つある点で特殊・直進経路上に課題がないため複雑に右左折を繰り返さなければならない

*5:2段階の指導で一番教習所の悪いところが出た

*6:センターラインを割ると対向車妨害・逆走扱いになることを危惧して勤めて左寄りを走行していた

*7:ミスをしてから、該当箇所を叱責するという古典的な指導法の誤りが散見される

*8:大型車は1m未満に寄せてはいけないが、おそらく75cmくらいになっていたと想定される

*9:そもそもキープレフトの原則しか指示されたことがない

*10:左寄せが甘くても叱責されてしまうので、どのみち叱責が免れない

*11:後方のポール群に対して後退し、50cm以内の間隔で停車する課題

*12:道路に垂直に指定された枠内に右方及び左方からバックし、反対方向に脱出する

*13:道路に平行に指定された枠内にバックで駐車する

*14:戦略的撤退

*15:とはいっても、早朝検定のために荷台に伸びていたポールの影で、何となく距離がつかみやすかったことで割と攻めることができたので、もしかすると50cm以内に収まっていたかもしれない

*16:とはいえ、郵便物や健康保険証はチェックされるので、実際に居住した実態を証明しなければならないというハードルはある

*17:変更を繰り返していて時系列がおかしくても郵便物は有効

*18:話しかけては"いけない"教官の場合、「はい」か「すみません」の何れかで回答するのが丸い

*19:せいかいのおーとーf:id:series189:20210327115409j:image

*20:人によっては違うかもしれない

*21:だから自分の場合、怒ることや威圧することは"負け"だと思ってプライドが許さない

*22:怒られてるので当然ドキドキしてるけど

*23:だからこそ自分もやっていた

*24:やらない

*25:そういえば、拳で抵抗するロックな奴もいたのは記憶に新しい。